「お客様の“不”を解決することがヒットの原点」──学び多き商品開発実践セミナー
2025年10月10日(金)
とくしま産業振興機構主催
「商品開発実践セミナー」に参加しました。
講師は、
Enjin Plus代表の近野潤さんと、
Bespoke代表の長田敏希さん。
お二人とも以前からご縁のある方で、
今回のダブル登壇は見逃せませんでした。
まず近野さんからは、
「お客様の“不”を解決することがヒットの原点」
という言葉が印象に残りました。
私たちが開発する商品は、
どれも「お客様の不満・不便・不安」を
どれだけ解消できるかが勝負。
“おいしさ”や“デザイン性”の追求も大切ですが、
それ以上に
「なぜこの商品が必要とされるのか?」
という視点が重要だと語られていました。
さらに、
「商品開発は過去・現在・未来のバランスで考えることが大切」
というお話も心に響きました。
過去には積み上げた経験や資源(リソース)があり、
現在は現場での努力、
そして未来には新しい投資や種まきがある。
この3つの視点をつなげることで、
企業としての持続的な成長が実現すると解説されました。
近野さんは、具体的な成功事例を交えながら、
既存の人気商品を“ロングセラーとして未来へつなぐ”取り組みも紹介。
単に商品を売るのではなく、
「お客様にとっての価値」をどう伝え、
どう守るかを考えることが企業の使命だと語られていました。
後半は、長田敏希さんによるブランディング講義。
長田さんはまず、
「ブランドとは、お客様の心の中にある“信頼の証”である」と言われ
商品が“知られている”だけではブランドではない。
“選ばれ続ける理由”をつくり、
“ファン”を育てることがブランディングの目的だと話されていました。
印象的だったのは、
「ブランディングは恋愛に似ている」という例えです。
一方的に想いを押し付けるのではなく、
相手の気持ちを理解し、信頼関係を築いていくこと。
そのために必要なのが、
3C分析(顧客・競合・自社)の徹底です。
特に“お客様理解”の部分では、
不満・不安・不便・欲求といった感情の背景を読み解くことが大切。
「顧客の心を理解しないままブランドを作るのは、
相手の気持ちを知らずに恋愛しているようなもの」
という言葉に深く納得しました。
また、自社の強みを発揮するためには、
「自己満足ゾーン」に陥らないこと。
競合との差別化を意識しすぎるあまり、
顧客が求めていない方向へ進んでしまうケースもあると
警鐘を鳴らされていました。
講義の中では、ある老舗メーカーが
パッケージデザインを刷新したことで
売上や販路が大きく伸びた実例も紹介。
リブランディングによって
“伝統と革新の両立”を実現した成功事例は、
まさにブランディングの本質を体現していました。
今回のセミナーは、
商品開発とブランドづくりの“両輪”を学べる貴重な機会となりました。
お二人の共著『うまく伝えて売れるを作る』もぜひおすすめです。
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近野さん、長田さん、
素晴らしい学びをありがとうございました。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。