心を高める経営を伸ばす ― 第2回 西日本合同勉強会 in 岡山 参加レポート
2025年9月12日(金)、岡山プラザホテルにて開催された
「第2回 西日本合同勉強会 in 岡山」に参加してきました。
…といいつつ、記念写真には10名しか写っていませんが(笑)
会場の空気感
当日は全国から200名超が集結。会の目的は次の3点に集約されていました。
- 稲盛哲学を学び追求し続ける
- エネルギーの磁場をつくる
- ソウルメイトとの交流の場をつくる
学びと交流が渦を巻くように広がり、会場全体が温かく、そして力強い熱気に包まれていました。
代表発表:株式会社パル技研 薮内廣之さん(香川)
代表発表者4名の中に、四国・香川から株式会社パル技研 代表 薮内廣之さんが登壇。
その経営体験は、理念と実践が見事に結びついた、胸を打つ内容でした。
創業の背景と理念
- 前職でのリストラを機に、仲間が安心して働ける場をつくるために創業。
- 社名の「PAL」は“仲間”の意。社長と社員はパートナーというスタンス。
- めざす姿:社員の幸せを実現する会社/技術者アイランド/社員と共に学べる会社。
逆境と決断:一社依存からの脱却
- 創業初期は売上の90%を一社に依存する危うい体質。
- 2008年リーマンショックで取引先から「3年後に海外調達へ移行」の通告。倒産リスクが現実味に。
- 受託開発だけでなく、自社商品を持つメーカーへ舵を切ると決意。
実践の三本柱
- ど真剣に学ぶ
- 率先垂範する
- 成功するまであきらめない
自社製品開発は投資負担が大きく、売り先が見つからない時期が続いたものの、
数年後の展示会でついに初受注。初出荷の日には、社員全員で製品をバケツリレーでトラックへ積み込んだという
エピソードが印象的でした。
事業の現在地と組織づくり
- 事業:産業電子機器の開発・製造(受託開発/自社商品)。
- 自社商品例:マイクロ波センサー、左折巻き込み防止センサー、フォークリフト周囲危険防止センサー など。
- アメーバ経営を導入。最初はトップが率先、現在は部門長が推進。
- 判断基準はフィロソフィ。幹部が「フィロソフィの伝道師」として育成。
- 「利他の心」で競合にも手を差し伸べる経営姿勢。
- 社内では機関誌マラソンを継続し、社員とともに学ぶ文化が定着。
社員の幸せを起点に、学びと実践で逆境を突破し、ものづくりの誇りを取り戻す。―― 薮内さんの歩みは、稲盛哲学の体現そのものでした。
学びのまとめ(所感)
- 理念と戦略は分離しない。人間として何が正しいかを基軸に意思決定する。
- 危機こそ変革の好機。依存から脱却し、自前の価値をつくる覚悟が未来を開く。
- 学びは仕組みに落とす。アメーバ・機関誌・伝道師づくりで学習する組織へ。
- 利他の心は競争力。関係性資本が事業を強く、しなやかにする。
薮内廣之さん、素晴らしいご発表をありがとうございました。私たちも、学びを現場で徹底し、まずは自社・自分から実践していきます。
この記事を書いた人
パッケージマーケッター 松浦陽司
1974年、徳島県徳島市生まれ。著書「売れるパッケージ5つの法則と70の事例」と「売上がグングン伸びるパッケージ戦略」を出版。パッケージマーケティングの創始者。パッケージの企画やデザインだけではなく、商品開発の根幹であるブランディングも行い、多数の成果をあげている。中身商品は同じでも、パッケージを変えただけで売上10倍になったり、単価が5倍になったりする事例を生み出している。その他、執筆活動、講演活動なども行う。ブランド・マネージャー認定協会2級&1級&ミドルトレーナー。